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村田 芳子

Yoshiko MURATA

Q1.Tanzelix3月8日公演に向けての準備期間を通じての想い、感想。

本公演が中止となってまだ1か月も経っていないのに新型コロナ感染の嵐は日本中・世界中を吹き荒れています。あの東京オリンピック・パラリンピックまでもが延期となりました。本当に信じられません。思い起こせば、本公演の企画が立ち上がったのが1年前、それから多くの卒業生たちが世代と立場を超えて動き出し、65年という伝統の糸がらせん状につながっていきました。そして、本番まであと少しというところで、今回の思わぬ事態に迷い揺れ動きながらの苦渋の決断「開催⇒延期⇒中止」と翻弄されました。何とか求め続けた上演の可能性も途絶えてすっかり力が抜けました。しかし、実行委員長としてこの間に創り上げてきた卒業生の皆さんとの時間は本当に貴重なものでした。でもやはり実現しなかった舞台のことを思うと悔しいです。

本公演に寄せる思いは幻となったプログラムの挨拶に書かせていただきました。ぜひ見てください。本公演の企画が舞台の上で更にパワーアップして皆さんにお見せできる日が来ることを祈りましょう。

Q2.対談にて伝えたかったことを少しだけ教えていただけますか?冒頭のごく一部、もしくはざっくりとした概要でも構いません。復活公演への期待もこめて。

第一部「受け継がれる舞踊教育のDNA」では、2つの対談を組みました。最初は片岡・村田の2人の対談(誰かが2人のゴッドマザーが語り合うと書いていましたが)では、まずは、65年前に遡るダンス部創設のルーツやレジェンドたちのエピソードを振り返り、次に、東京教育大学時代の松本千代栄先生から始まった舞踊研究室の草創期の活動や成果、その後の学習指導要領へとつながる創造的舞踊教育の歩みを裏話も交えながら概観します。2つ目の対談は、高橋・中村・寺山の3名に加わっていただき、東京教育大から筑波大への移行期、幡ヶ谷とつくばを行き来した苦労話、筑波大学ダンス部の草創期から現在へと、何が引き継がれ、何が変化したのか、未来に向けて熱く語り合う・・・はずでした。

2つの対談の後は、筑波大学での舞踊教育を受け継いだ若手指導者・佐藤による舞台での指導の実演があり、最後は卒業生が指導した作品を上演する予定でした。アー、こうして書いていても私の頭の中で公演のシナリオと舞台上の様子が浮かんできてしまって・・・、ため息と同時に切ない気持ちが蘇ります。

舞踊教育の聖地と言われてきた我が舞踊研究室、常に伝統と革新の狭間に挑み続けてきた我がダンス部、その「受け継がれたDNAとは何か?」、「未来へどんなメッセージを提案・発信できるのか?」・・・それが今回の企画のコンセプトになっていましたが、対談の台本作成中に今回のコロナの受難で、明確な答えが見えないまま時が止まってしまいました。この問いをしばらく心に熟成させて、再び止まった時を動かすことができたら、新たな景色が見えてくるかもしれません。

Q3.同窓生へ、そして現役生へのメッセージ。

 まず現役のダンス部の皆さん、卒業生公演は中止になっても、ダンス部公演は4月2日に延期という希望を残して練習を重ねてきたのに、その延期公演もまた中止になってしまいましたね。3月17日、大学のダンス場で部員の保護者の皆様など関係者だけをお招きしてのダンス部公演が開かれました。私もこの会を見に行かせていただきました。規模も縮小した公演でしたが、まだ公演開催のかすかな望みをつなぎとめようとする部員たちの気迫のこもった渾身の踊りは感動的でした。そして、カーテンコールの直前に寺山先生から告げられた公演中止の決定、しばしの沈黙の後に登場した部員たちは泣きながら踊っていました。なんという切ない瞬間でしょう。特にリーダー学年の3年生たち(新4年生)にとってその悔しさは計り知れません。その姿を見ながら9年前の春、東日本大震災で今と同じように延期公演も中止となり、空手道場で開催された発表会を思い出し、せつない光景が重なりました。しかし、9年前のダンス部はこの苦しい経験を乗り越えて前よりもっと強くなりました。そして、当たり前のように踊れることの喜びを知り、苦しさをばねに多くの大切なことを学びました。現在、ダンス部のリーダー学年は替わり、新たな体制で動き出しました。来年3月のダンス部リサイタルでは、今回悔しい思いをした先輩の分まで質量ともに充実した公演になるよう願っていますよ。みんな、頑張って!!

 そして、同窓会の皆さん、多くの方々が今回の企画に様々な形で関わっていただきました。実行委員として、準備委員として、当日スタッフとして、あるいは寄付金やチケット購入という形で・・・等々、多くの力が結集しました。中でも、今回卒業生による初の単独公演の立ち上げから準備、そして中止が決まった後も面倒な作業で頑張ってくれた準備委員の若手の皆さんには心からの感謝とねぎらいと「あっぱれ!」の言葉を贈ります。この間に費やしたエネルギーと苦労が少し時間をおいて、新たな公演への愛着とエネルギーにつながりますよう、心から期待していますよ。その時には、今回関われなかった多くの同窓生たちをもっともっと巻き込んで大きな渦になるようにしましょう。頑張るよ!!

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